“離婚から100日間再婚禁止”というこのルールは「女性限定」なのですが、妊娠出産するのは女性であることから、生まれてくる子の父親が誰なのかという混乱を避けるために必要なルールとされていました。
まず、変更前(現在のルール)はどうなっているのでしょう?
変更前(現在のルール)
①離婚から300日以内に生まれた子は前の夫の子
②結婚から200日を超えて生まれた子は今の夫の子と推定される、とあります。
(「推定される」とは、もし反対事実を証明できれば覆すことができるけど、とりあえずこう決めておくね、ということです。)このルールのもとで、子どもの父親がすぐに判断できるようにするために、女性は離婚後100日間は再婚できないとされています。(①と②について考えたとき、離婚後すぐに再婚した場合、元夫の子と推定される期間と現在の夫の子と推定される期間が100日間重なってしまい、つまり両方の条件を満たす子が存在してしまうからです。)
そのために女性が出生届を出せず、子どもが無戸籍になってしまうということが問題になってきました。
令和5年1月時点で、法務省が把握している無戸籍者は825人とされています。
戸籍が無いということは、保育所に入ったり、保険証を作るにもその都度、役所に居住しているということを確認してもらう必要があり、すぐに行政サービスを受けられないという問題が生じています。現在は医学が発達し、DNA鑑定などにより親子の証明をできる精度が高まりましたし、妊娠中かどうかも高精度でわかります。従来の枠組みにとらわれることなく、多様性のある現代社会に沿った法改正が望まれていました。
では、今回の法改正はどのような内容なのでしょう。
変更後のルール(令和6年4月〜)
再婚後に生まれた子供は、期間を問わずに今の夫の子どもだと推定する。
これに伴い、女性の離婚後100日間は再婚禁止というものも廃止される。
というものに変わります。
ずっと女性だけに続いていた制限がようやく廃止となります。
価値観や生活の変化に合わせて法律も柔軟に変わっていくべきだと思います。